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麓最後の瞽女おかつ(ふもとさいごのごぜおかつ)

ページ番号
1100382
更新日
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麓二区、近山利兵衛方の主婦おかつは生まれつき目の見えない人でした。終生独身で、瞽女となって生計を立てていました。
勘が良く、毎朝鏡台に向かって自ら髪を結い、いつもきちんとした清楚な服装で、怜悧で温和、村人に親しまれた人でした。歌は元より、三味線のバチさばきには微妙な響きがありました。安倍保名(あべのやすな)「葛の葉」の子別れの曲など、聞こえていても妙音の間に何となく狐のなき声が聞こえてくるように感じられ、  恋しくばたずね来みよ     泉なる   信田の森の恨み葛の葉 かわいいわが子とどうしても別れねばならぬ葛の葉の悲痛な姿が目に見えるほどでした。
かつて朋輩の瞽女と二人連れで三弦を担いで上州の草津まで旅稼ぎしました。ちょうどそのとき、草津へ稼ぎに行っていた村山の大工、三浦寅吉さんが見つけて、 「おや、おかつではないか。目の不自由なお前たちがこの険阻な山奥の町までよく来ることができたな。」 とほめました。
おかつの住宅は、いつ訪ねても屋内も前庭も清掃が行き届き、整頓されてよい感じでした。雨の日には室の一隅に端座して三味線を弾き修練に励む姿を簾越しに見たものでした。

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