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利兵衛さんの狐(りへえさんのきつね)

ページ番号
1100407
更新日
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150年ほど前のこと、境江の利兵衛さんの屋敷の裏に森があって、そこに夫婦の狐が住んでいました。八百松という息子がその狐と親しくしていて、暇があると森の狐と遊びたわむれて、かわいがっていました。八百松が病気で幾日も寝ているとき、看病していた母とこんな話をしました。
「自分が病気で幾日もこんなに苦しんでいるのに、裏の狐は何もしてくれない。」 「いくら仲良しでも相手は畜生だもの。」 翌朝、勝手の流しに大きな鯉が2匹置かれていました。二人の話を聞いたのか、感じたのか、とにかく狐の届けてくれた見舞とわかって八百松は喜んで食べ、まもなく元気になりました。
あるとき、母狐が幼い何匹かの子狐を残して死にました。利兵衛さんの家では気の毒に思って、みんなが何かと目をかけてやりました。やがて、村の人々の間で、狐の嫁入りがあったという評判がたちました。八百松は狐の穴の前へ行って、狐を呼びました。雄狐が穴から出てくると、左手で片目を押さえて八百松の前にうずくまりました。そのあとから出てきた雌狐をよくみると片目が不自由でした。八百松が、 「片目が見えなくても、子どもをかわいがってくれれば、立派な嫁だ。」 といったら、2匹して尾を振りました。
八百松が成人して嫁をもらうときは、鴨2羽をお祝いに届けたそうです。今から100年以上も前に森が伐られたころから、その狐の姿は見られなくなりましたが、穴はその後も残っていたといいます。

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