彌彦大神の雷退治(やひこおおかみのかみなりたいじ)
大昔、彌彦の大神様がある夏の一日、米水浦(野積の浜)で、里人たちに一生懸命塩を作る方法を教えておられました。
一日がかりの作業で、夕方にはたくさんの塩ができあがりました。皆が大喜びの最中、突如として雷鳴が轟き、一天にわかにかき曇って、夕立がザーッと降り始めました。みるみるうちに、せっかくできあがったたくさんの塩をすっかり雨で流されてしまいました。
彌彦大神様は大層お怒りになり、さっそく天に呼びかけて雷どもを集め、厳重に戒められたので、恐れ入った雷連中は、
「申し訳ありません。今日以後は、絶対にこの地方では雷を鳴らさず、夕立も降らしませんから、どうぞお許し願います。」
とお詫びして固く誓約したとのことです。
このような理由で、弥彦山には夕立も降らず、雷も鳴らないと言われています。
彌彦大神の雷退治にはもう一つ伝説があります。
彌彦大神様が、ある夏の夕方、弥彦山中を巡視されている時に、にわかに雷鳴が轟き、夕立が降ってきました。驚いた大神様は、雨宿りをされるために山道を走っている途中、道ばたのウドの鋭い新芽に目をつつかれてしまいました。
大神様は、さっそく、雷とウドに厳重に注意したので、恐れ入った雷は、
「以後は絶対に弥彦山の上で雷を鳴らさず、夕立を降らしません。」
と誓い、ウドは、
「これからは弥彦山には絶対に繁殖しません。」
と誓ったといわれます。
現在でも弥彦山でウドをみることは、きわめてまれです。
この彌彦大神様の雷退治の伝説に由縁して、昔はこの地方の民衆の間に、
「彌彦様は雷除けの神様である。」
との信仰があり、そのお守りとして御神札をいただいていく風習があったといわれます。
今はこの地方では、このような信仰は聞きませんが、遠く離れた群馬県・茨城県・埼玉県などの地方で、「越後一之宮お彌彦様雷除け」の信仰があり、彌彦神社の御神札をいただく風習がなお残っているといいます。
昔は、関東一円に毒消し売りに出かける売り子さんたちが、信仰者から依頼されて彌彦神社の御神札をいただいて、年に一回届けてやったという話も語り伝えられています。
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