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安麻背(あまぜ)

ページ番号
1100365
更新日
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神代の昔、彌彦大神が越後開拓のため野積に上陸した当時のことです。弥彦山裏側にあたる日本海に面した海浜一帯に、安麻背と名乗る凶賊が、たくさんの部下を従え、近隣を荒らし回り、多勢の婦女を略奪して、善良な住民から恐れられていました。
安麻背は身長が1丈6尺余り(約4.8メートル)もあり、海中に飛び込んで素手で大魚をつかみ取り、けものを素手で打ち殺すほど力が強かったそうです。住民たちの話で、手ごわい相手と感じた彌彦大神は、部下と相談し、一計を立てました。
安麻背は浜辺の岩屋で大勢の手下を相手に酒盛りの最中でありました。彌彦大神は、
「大和朝廷より越の国の王である貴方に賜るために、特に鍛えた剣である。刃の鋭さは大岩を断ち割り、荒波をも二つに分かつほどすばらしい。また、酒は、特に醸した天下一の美酒。多いに飲んで賞味されたい。」
と、一振りの美しい長剣と香り高い酒を安麻背に手渡しました。
よろこんだ安麻背は、さっそく自分の腰に付けていた山刀と取り替え、彌彦大神の一行を座に迎えて、贈られた美酒で乾杯しました。
宴もたけなわとなり、ころあいをよしとみた彌彦大神は、そこで、
「これから浜辺に出て、差し上げた剣で貴方のすばらしい腕前のほどを見せてほしい。」
ともちかけました。
酔いも回り、上機嫌の安麻背は、
「ヨーシ。」
と、求めに応じて外に出て、
「いでや、わが腕前のほどを見せん。」
と、腰の長剣を引き抜くと、波打ち際の大岩にハッシと振り下ろした。
ところが、折れないと思っていた剣は、根元からポッキリ…。
「計られた!」
と安麻背が気付いたときは、すでに遅かった。彌彦大神に胸元に剣を付きつけられ、縄でしばりあげられてしまいました。
しかし、彌彦大神はその後、捕らえた安麻背をよく諭し彼も改心を誓いました。以後、安麻背は彌彦大神の家臣となり、浜の開発と漁業の振興に励み、大いに栄えたといいます。
安麻背のものがたりは、現在の間瀬浜開拓の由来ともいわれています。

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