すこやか やひっ子「歯の健康」

⑥歯の健康

編集指導・・・上原 達明氏(新潟市西蒲区巻甲 ロハスデンタル院長)

<こんなにある「よくかむこと」の効用>

 食べ物のおいしさはよくかんで味わうことで感じられるものです。おいしいと感じる心が食欲を生み、子どものからだをつくります。「咀しゃく」「歩行」「呼吸」にかかわる神経回路は、脳にプログラムされた生きるための重要な運動であることが明らかにされています。

<子どもの成長とあごの発育>

 かみごたえのある食べ物をよく咀しゃくすると、脳の発育を活性化して口、あごの正常な発育を促し、運動能力や身体のバランスを向上させます。健康な歯でよくかんで食べることが、育ち盛りの子どもにはとても大切です。

<乳歯の生え方>

① 1~6ケ月 歯が生える準備時期
② 1.6~9ケ月 歯が生え始める
③ 1.1歳ころ 前歯上下4本が生える
④ 1.1歳6カ月 奥歯(第一乳臼歯)が生える
⑤ 1.2歳~3歳 犬歯、奥歯(第二乳臼歯)が生え、乳歯20本完了

<子どもの歯磨き、いつ始める?どう始めるか?>

 歯磨きのスタートは、6ヵ月~1歳くらいが目安です。この時期は間食も少なく、唾液の自浄作用で十分清潔に保てます。はじめのうちは、みがくというより、歯ブラシに慣れる気持ちでゆったり構えて始めましょう。

<仕上げみがきと自分みがきは、並行して行う>

 最初は、みがくまねができるだけでOKです。仕上げみがきのときにも、マイ歯ブラシをにぎらせて、おうちの方がみがいてあげる「仕上げみがき」と、子どもたちが自分でみがく「自分みがき」は、並行して行うのが基本です。早いうちからマイ歯ブラシになじんでいれば、自分みがきへの移行も難しくありません。また、お母さんが磨くときに一緒にお子さんに歯ブラシを持たせてあげると子ども自ら「自分みがき」をするようになるでしょう。

 歯ブラシでのどをついてしまう危険がありますので、小児用でのどをつかない工夫をしている歯ブラシを利用しましょう。仕上げみがき用の歯ブラシを子どもに持たせないようにします。

<歯磨きの基本は、楽しむ、ほめる、慣れさせる。>

上手な仕上げみがきのポイント

 1 「楽しい!」と感じる雰囲気をつくる!

 2 みがいたあとは、いっぱいほめる!

 3 決まった時間に繰り返して習慣にする!

  ※ 眠いとき、疲れているときは無理じいしない。

 口や顔をさわられることは、子どもたちが本能的に嫌がります。また、じっとして終わるのを待つことも子どもたちにはつらいものです。大切なことは「歯磨きは楽しい!」と感じさせることです。終わったあとはたくさんほめて、毎日の習慣にしていきましょう。

 子どもは一つの事を長くやることは難しいです。そのため「10数えるまでやろーか」とか砂時計があれば「これが落ちるまでやろーか」といったように一つの目安を作ってやると頑張れますので、実践してみて下さい。

<歯磨きのサイクルは、1日2回が目安。はじめのうちは1日に1回でもOK!>

 歯垢の増殖は24時間のリズムなので、歯磨きは1日1回汚れを落とす感覚です。でも、子どもが疲れていたり、体調が悪かったりする場合は、無理をさせないようにしましょう。

<仕上げみがきの体勢は、年齢で変える>

0~1歳 抱っこみがき
赤ちゃんのうちは、授乳するときと同じ抱っこ体勢でみがく。
1~3歳 寝かせみがき
ひざを少し開いて正座して、ひざの上に頭を乗せてみがく。
3歳以上 座らせみがき
椅子に座らせて頭を支えて大人は後ろからみがく。

<仕上げみがきのポイント>

 むし歯になりやすい上の前歯や上下の奥歯に的を絞って。みがく順序は奥歯から始め、痛みを感じやすい上の前歯は最後にする。

 1 歯ブラシは歯の面に直角にあてる

   歯の面にまっすぐ歯ブラシをあて、歯茎を傷つけないようにやさしくみがきます。歯の表面の汚れを最も効率よく落とすには、歯ブラシを歯の面に直角にあて、こまかく振動させます。

 2 上下の奥歯の溝をみがく

   奥歯と奥歯のかみ合わさる面の溝は、汚れのたまりやすい部分。溝にそって、手前にかき出すようにして汚れを取り除きます。

 3 上の前歯をみがく

   上唇の裏側にある上唇小帯(唇と歯茎をつないでいる筋)を歯ブラシで傷つけないように、人差し指で上唇を押さえ、人差し指に歯ブラシをそわせるように磨くと痛がりません。

 4 奥歯の側面をみがく

   上の奥歯のほっぺた側は、口を大きく開けずに小さく開けるとほほがゆるみ、みがきやすくなります。下の奥歯の舌側は「アー」と言わせると舌が下がりよく見えます。

<歯磨き剤は、うがいができるようになってから>

歯磨き剤に含まれる微量フッ素が、歯のエナメル質を強くし、むし歯になりにくい歯にしてくれます。ぶくぶくができるようになったら使い始めましょう。

<どんな歯ブラシがいいのか?>

最初の歯が生えてきたら、赤ちゃんが自分でみがけるトレーニングブラシを与えましょう。のどをつかえない工夫のあるものを選んでください。

 1 ヘッドは小さめのもの

 2 グリップはにぎりやすいもの

 3 毛はやわらかくて密集しているもの(カットはフラット)

<歯ブラシの毛先をチェック>

 手の甲を磨いてチェックしましょう。

 1 毛先がなめらかに処理してあるものを選ぶ

 2 毛先がふくらんだタイプはプラークが落としにくい

 3 切りっぱなしは歯肉を傷つけるのでダメ!

<おなかの中の赤ちゃんにお母さんができること>

 生後6ヵ月くらいにならないと赤ちゃんの歯は生えてきませんが、実は歯の元になる「乳歯の芽」は、すでに妊娠6週目からできはじめています。お母さんがとった今日の栄養が、お腹の赤ちゃんの歯を作ります。そのことを、ぜひ忘れないでください。

 1 しっかりむし歯を予防する。(むし歯のある人は、安定期に治療をすませる)

 2 大切なカルシウムを十分にとる。

 3 食事はよくかんで、バランスのよいメニューをとる。

 4 ストレスはじょうずに解消する。

 5 むし歯菌の量を歯科医院でチェックし、減らしておく。

<乳歯の健康が、永久歯の未来を左右する。>

 乳歯の20本に比べ、永久歯の本数は28本。美しい歯並びのためには、あごの骨が十分に発育することが必要です。妊娠4ヵ月で乳歯、生後3ヵ月で永久歯の石灰化が始まり、エナメル質が作られます。乳歯と永久歯は子どもの顎の中で成長しながら、それぞれの出番を待っています。永久歯のことも考えながら、乳歯を大切にしたいものです。「そのうち生え変わるから」と、乳歯のむし歯を放っておくのは禁物です。乳歯の根を道しるべに生えてくる永久歯が、乳歯を異物と認識して別の場所に出ようとしたり、周りの永久歯が傾いてきたりと、歯並びやかみ合わせのトラブルの原因になります。

<むし歯の予防には、食生活が大切>

 1 よくかむことで、あごが発育し、丈夫な歯がつくられる。

   健康な歯を育てるには、食べ物をよくかむことです。だからと言って、特別にかたいものばかりを食べる必要はありません。できるだけ多くの食材をそろえ「よくかんで食べようね」と声をかけてあげてください。よくかむことで、あごがしっかりと発育し、歯並びもかみ合わせもよくなります。

 2 足をつけて食べることで、かむ力は約20%もアップする。

   食事の時に足がブラブラしていると、身体に力が入らず、かむ力も弱くなってしまいます。大人用の椅子を使う場合は、厚い雑誌などを床に置いて、足がブラブラしないように調節し、正しい姿勢で食事ができるように心がけましょう。

<「むし歯菌」「糖分」「環境」「時間」の4条件がそろうと、むし歯ができる。>

 砂糖=むし歯の原因というのは大きな誤解です。歯磨きなどによって、むし歯菌をきちんと退治しておけば、甘いものを食べてもむし歯にはなりにくいのです。むし歯を受け入れる環境(歯)があり、口の中のむし歯菌が糖分を取り込み、一定以上の時間を経過してはじめて、むし歯ができるのです。

・むし歯菌が糖分を取り込み、ネバネバ物質を出して歯垢をつくる。

・歯垢の中にいるむし歯菌が酸を発生させる。

・エナメル質が酸の攻撃を受けてむし歯ができる。

<フィンランドに学ぶ!むし歯予防に大切な5つの要素>

 町・保健所・学校が一体となって、むし歯予防に取り組み、子どもたちのむし歯を減らした国がフィンランドです。そのむし歯対策の中心になったのが、「歯磨き」「正しい食生活」「定期健診」「フッ素」「キシリトール」の5つの要素です。これらを徹底すれば、日本でもむし歯は必ず減らせるはずです。

<汚れ落としだけが歯みがきの目的ではない>

 歯磨きには汚れ落としの他に、もうひとつ大切な目的があります。それは歯を強くするということです。生えてきたばかりの歯はとても弱く、強化することが必要です。そこで欠かせないのがフッ素入りの歯磨き剤です。フッ素入りの歯磨き剤で歯をみがけば、歯磨き剤に含まれる微量(の)フッ素の作用で、歯は少しずつ強くなっていきます。

<乳歯の虫歯を放っておくと永久歯にも影響>

 「そのうち生え変わるから」と、乳歯のむし歯を放っておくのは禁物です。口の中にむし歯菌が増えてしまうばかりでなく、早期にむし歯などで乳歯を失うと、永久歯の歯並びやかみ合わせにも影響が出てしまいます。 将来むし歯で悩まないために、乳歯のうちからのむし歯予防と適切な治療が大切です。



【参照】

ベネッセ教育情報サイト 歯磨き情報 118kids(いいはキッズ)(https://benesse.jp/contents/118kids/index.shtml)

一般財団法人 日本口腔保健協会 子どものお口の健康(https://jfohp.or.jp/okuchikenko_navi/child/index.html)



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