すこやか やひっ子「食育Q&A」

食育Q&A 回答 唐津 敦子氏(弥彦村福祉保健課 管理栄養士)

Q1 食べ物の好き嫌いはどうすればいいですか?

   食べ物の好き嫌いが出てきました。どうしたらいいでしょう?子どもが食べやすい調理の工夫はありますか?

A. 離乳食期の場合、初めて食べる食品は味の経験がないため、拒否反応を示します。決して「嫌い」というわけではなく、「その味に慣れていない」場合が多いものです。日を変えて繰り返しチャレンジすることで味の記憶ができ、食べてくれるようになります。そのときに、食べさせる人の優しい声かけを聞き、表情を見ることで、子どもは「これは安心して食べられる」と感じ取ります。

 離乳食期から幼児食への移行期の好き嫌いは、自分の好みの味がわかってきた証拠です。また、食べ物の舌触りや噛み応えなどを敏感に感じられるようになります。離乳が完了すると、固さ、味付け、大きさ等つい大人と同じにしがちですが、子どもにとって「食べにくい」ことから「食べたがらない」ことが見られます。離乳が完了しても、歯は生えそろっていませんので、離乳食後期の延長として考えましょう。味付けが濃いもの、歯茎で噛みつぶせないものは食べにくいものです。野菜は火を十分通してやわらかく、お肉は細かく刻む等する配慮がまだ必要です。また、「食べないから作らない」が習慣化すると、ますます好き嫌いが助長されます。「食べないかもしれないけど食卓には出す」ことを繰り返しましょう。バランスのよい食事を家族みんなで「おいしいね」と言いながら食べることが何より大事です。この時期を丁寧にかかわることで、幼児期の好き嫌いを防ぐことができます。

 幼児期の好き嫌いは、これまでの「味の体験不足」や「食の偏り」が影響しています。人見知りと同じように「食べ物見知り」があります。周りの大人がいろんな調理法のメニューをおいしく食べる姿を見せることによって、子どもの警戒心が解け食べられるようになります。「食べなさい」と強制することは逆効果です。また、好き嫌いを解消するには「食べられた!」という成功体験の積み重ねが必要です。

 まずは食卓に出し、自分で食べられる量を決めさせ、それを食べたら必ず 「ほめる」ことを繰り返します。苦手な食品を細かく刻んでわからないように食べさせる方法は、栄養は摂れても、好き嫌いを克服したことにはなりません。「食べてみたら意外とおいしい!」と、いつのまにか食べられていたということもあります。気長に、地道に寄り添ってあげましょう。

Q2 お菓子は好きなものを好きなだけ食べさせてもいいでしょうか?

   食事の量は少なめですが、お菓子はたくさん食べます。お菓子を食べていれば静かにしてくれるので、ついついたくさん与えてしまいますが、好きなだけ食べさせてもよいのでしょうか?

A. 子どもにとっておやつは栄養補給のために必要なものです。おやつの一つとしてお菓子があってもよいでしょう。ただし、おやつの時間や量を守らず子どもの欲するままにお菓子を与えてしまうと、食事が進まなかったり(小食)、むし歯や肥満の原因になってしまいます。また、静かにさせる手段としてお菓子を使うと、「うるさくすれば要求が通る」とがまんする力が育ちにくくなります。この先、社会生活を送るには、子どもの言うことばかり通してはいられません。聞いてもよい要求は認め、達成感や安心感を持てるようにしますが、社会に認められない要求(この場合、おやつの時間ではないのにお菓子を要求する)に対しては、その時に言い聞かせ、具体的になぜいけないかを教えましょう。社会生活で困ることは一つ一つ教え、考える力とがまんする力を育てます。お菓子を含めておやつは、子どもの手に収まる量を与えます。片手分には牛乳や乳製品を、もう片手分に果物やお菓子が乗るくらいが1日のおやつの適量です。おやつは時間と量と内容をしっかりと保護者が管理しましょう。

Q3 朝ごはんは食べなくても大丈夫ですか?

   親が朝ごはんを食べない生活なので、子供も朝ごはんを食べていません。でも元気なようですが、だめでしょうか?

A. 3歳児の一般的な体重は約13.5㎏です。成人女性の平均体重は約55㎏です。子どもの体重は大人の約1/4ですね。一方、3歳児の1日のエネルギー量は1100Kcal、成人女性は1750Kcalです。子どもは大人よりも体格は小さいけれども、栄養は1/4量にはならず、むしろ大人より2倍以上の栄養が必要ということになります(体重1㎏あたり)。

 本来、3食とおやつで1日の栄養を摂取すべきところ、大人以上に栄養が必要な子どもが1食でも食べないとなると、今は元気に見えても、成長には影響してしまいます。身長や体重が増えないだけでなく、血液、骨の成長、こころの発達にも悪影響です。大人が朝ごはんを食べなくても、自分の判断で朝ごはん以外に何かを食べることができます。ですが、判断が未熟な子どもは、大人から食事を与えられる以外に自分で考えて食べることはできません。子どもの食事の必要性を理解し、健全な食生活を家族みんなで実践しましょう。

Q4 簡単に朝ごはんを作る工夫を教えて!

   朝は忙しくて、なかなかごはんを作れません。簡単に朝ごはんを作る工夫を教えてください。

A. 朝は自分や子どもの支度で精いっぱいですね。その中でも、朝ごはんをきちんと食べようとする心がけはとてもすばらしいです。朝ごはんは、前の晩の残りものを温めるだけで十分です。夕食 を作る際に朝ごはん用として多めに作っておくということです。休みの日にゆで卵をたくさんゆでておいたり、茹で野菜を何種類か保存容器に入れておくのもよいでしょう。それでも難しい場合は、カット済み野菜や冷凍食品、お惣菜を使うのも一つの方法です。ごはんやパンなどの主食、卵やウィンナー等の主菜、ミニトマトやブロッコリー、具たくさんのみそ汁等の副菜となるものがあれば、十分です。

Q5 食べ物やスプーンを投げるのですが(1歳)。

   食事中に食べ物やスプーンを投げて困っています。どうすればよいでしょうか。

A. ある程度食べた後の行動であれば、食事を終えてよいサインかもしれません。そうでなければ、大人の反応を楽しんでいることも考えられます。あまり過剰に反応せず、「困るな~」「やめてほしいな~」という表情をしてみるとどうでしょうか。少しずつ、「いけないことはいけない」と教えていきましょう。また、「スプーンで食べたいけれどもうまく使えない」、「手づかみでも食べたい」という時期です。汚されることを前提に環境を整えて食事に臨むと、ストレスも軽減されるでしょう。

Q6 こぼしが多いのですが(1歳)。

   食事中によくこぼすので困っています。どうしたらよいでしょう。

A. 1歳の時期は自分の手をうまく使えず、こぼしながら食事をします。こぼされるとそれを片付けなくてはならず、困ってしまうかもしれませんが、本人が楽しんで食事をしているのであれば、それを認めてあげましょう。手や指先の発達と、体幹がしっかりとしてくると共に食べこぼしも少なくなってきます。手や指を使った遊び(折り紙やお絵かき等)や体を動かす遊びを十分にさせましょう 。

Q7 食べる量にムラがあります(2歳)。

   日によって食べる量が違います。何か問題があるのか心配になります。どうすればよいでしょうか。

A. 2歳になると、食べたいもの、食べたくないものが、同じメニューでも、気分や体調によってコロコロ変わります。「昨日まで食べていたのに今日は食べない」「昨日は食べなかったのに今日は食べる」なんてことはよくあります。日によって食べる量が違うということは、子どもにとって食べやすいメニューかどうかでも変わるかもしれません。どちらにしても、身長、体重が成長曲線に沿って増えていれば問題ありません。日々、大人を困らせるようなことをする時期ですが、大人とのやり取りの中で、心が成長する時期でもあります。あまり考えすぎずに見守ってあげましょう。

Q8 料理を一品ずつ食べる(2歳)。

   出した食事を一品ずつ食べて、それを食べ終えるまで別の品を食べません。バランスよく交互に食べさせたいのですが、どうしたらよいでしょう。

A. 最終的に全部食べるのであれば、この時期は好きなように食べさせてよいと思います。なんでも自分でやりたがり、それを制止されるとかんしゃくを起こす時期です。食べてほしいと思うものを交互に小皿に移して目の前に出してあげるとどうでしょうか。2歳児がバランスを理解して食べることは難しいです。バランスのよい食事を用意してあげることを優先し、それが習慣になれば、成長とともにだんだんとわかってくるでしょう。

Q9 野菜などの好き嫌いはどうすればよいか(3歳)?

   とにかく野菜を嫌がり食べません。どうやって食べさせればよいでしょうか。

A. 毎日の食卓に必ず野菜料理をだすようにしましょう。大皿に盛らずに個別に盛り付け、食べられる量の妥協点を親子で決めましょう。最初はなめる程度でもよいです。ここまでに何日もかかるかもしれませんが、「決めた量を食べたら、ご褒美がある。」(「お出かけする」、「ちょっとしたデザートがある。」)等目標を持たせるとよいです。自分で決めた量を食べたら、十分にほめてあげます。これを繰り返します。好き嫌いは、短期間で解消するものではありません。「ほめられた」ことを十分に体験させることが大切です。

Q10 かなりの偏食です(園児)

   食べるものが限定的で、かなりの偏食です。どうすればよいでしょうか。

A. どのような食材、メニューを好んでいるのか、触感、食感、味、香り、温度、見た目等敏感になっているかなど、観察や記録をしてみましょう。その中で、形態や見た目で判断しているとわかれば、形態を同じにして作る、味にこだわっているのであれば、何でも同じ味付けにする等から始め、本人のこだわりを少しずつ解くように関わります。食べられるものばかりをそろえず、食べられるものと、食べられないものをセットで与え、食べたらほめることを繰り返します。食事の際には、安心できる場所や人、楽しく食事ができる環境、空腹であることが必要です。「かなりの偏食」のお子さんの中には、日常的に専門的な知識を有する支援者を必要とするケースもあります。保育士さんに相談してみることをお勧めします。

Q11 おやつはどんな物にすればよいか?

   ついついスナック菓子を与えてしまいます。体によくないとわかっていますが、どんなおやつを与えればよいでしょうか。

A.  ついつい与えてしまうということですが、子どもが見つけたら食べたくなるのは当然ですので、買わないことが一番です。「今日のおやつは○○ね」と前置きし、「嫌だ」と言われても「これしかないの。嫌なら食べないで。」とおやつの主導権を譲らないようにします。

 おやつがスナック菓子である日があっても悪いことではありません。子どもの手のひらに入る分の量と、牛乳をセットで与えるとよいでしょう。おやつは、体の成長に必要な栄養(エネルギー、たんぱく質、カルシウム、ビタミン)を補給するためのものです。約150kcal程度が適量ですので、この範囲でいろいろなものを与えてください。牛乳、乳製品、果物等を中心に、時には甘いものや、お菓子を必ず量と与える時間を守って与えましょう。



 上記は、質問に対して一般的な回答です。実際は個々の成長や発達、家庭環境により対応が異なります。



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