すこやか やひっ子「乳幼児の行動の変化と成長」

③ 乳幼児の行動の変化と成長 

編集指導・・・柳本 利夫氏(新潟市西区中権寺 やぎもと小児科院長)

<乳幼児の発達>

年齢 乳幼児の様子
3ヶ月 驚き、苦痛、リラックス、興奮(怒り、悲しみ、恐怖)
4ヶ月 一番近くにいる人を認識でき、相手の声のトーンや表情で感じていることを察知し、反応する。
6ヶ月 名前があること(自分も含め)を理解する。泣くこと以外のコミュニケーションがあることを知り始める。
7ヶ月 簡単な物事の流れ(例:びっくり箱)を理解する。
7〜8ヶ月 父母は自分と違う存在だと気づく。
8〜12ヶ月 簡単なお願いや質問を理解する。
12〜15ヶ月 「おもちゃを持ってきて」というシンプルな指示がわかる。
18ヶ月まで 「そのぬいぐるみを拾って、かごに入れなさい」といった二つの指示が理解できる。
2才 一緒に遊べる。それまではパラレルプレイ(同じ場・遊びでも他と関係をもたない)
2〜3才 おもちゃの共有ができる。
3才 質問をし続ける。
4才 通常、親しみやすく社交的、共感できる。    
友達と協力でき、団体行動ができ、親友ができる。    
役を演じたり「ごっこ」に熱中し、想像上のお友達や物語作りをする。    
大人から頻繁に褒められたい。    
暴力よりも言葉で怒りを表すことが増える。
5才 より親しい友達のグループができる。親切に協力して遊べる。    
グループで想像上の遊びができる。    
感情のコントロールができるようになる。    
人を喜ばせたり、笑わせるのを楽しむ。    
親の手助けをしたがる。    
自分より年下、弱い者に対する思いやりの表現ができる。
6才 うれしくないことを言葉で説明できる。    
簡単な問題解決のためのステップを踏むことができる。    
より褒められたい(大人からの確認や賞賛)と行動する。    
相手の視点で物事を見ることはできない。    
倫理や道徳観が理解できない(特に決まりがない状況では)。    
自分以外の人が設定したルールに沿って、自分が「悪い」ことが理解できる。

<0~1歳で見られる行動>

① 赤ちゃんが「泣く」のは不快や不安を知らせるサイン

 お腹が空た、おむつが濡れて気持ちが悪い、眠いのに眠れないなど、不快なことがあると泣いて表現します。また、痛みや痒みや発熱する前兆など、病気も泣いて知らせます。いつもと違う泣 き方、長時間泣き止まないときは注意が必要です。さらに、0~3ヵ月の赤ちゃんは母親の胎内と胎外の環境の変化で泣くことがあります。その時は、優しく包むように抱っこしてゆっくり揺り動かしてみましょう。

② 1回の睡眠時間が長くなり、昼と夜の区別がついて生活リズムが整う

 生後2ヶ月頃は、授乳やミルクが終わるたびに眠り、2~4時間ごとに目を覚まします。眠りが浅く、昼夜の区別がまだついていません。

 生後3~4ヵ月頃から徐々に昼夜の区別がついて、昼間起きている時間が長くなり、少しずつ夜まとまって眠るようになります。

 生後6~12ヵ月頃は、日中は体を動かして遊ぶなど、活動が活発になってくる時期です。運動をして、規則正しい昼寝をすることで、夜間に長時間連続で眠ることが多くなり、生活リズムが身についてきます。

③ 人見知りは身近な人との信頼関係が築けている成長の証

 生後6ヵ月頃は、母や父、いつも世話をしてくれる人や見慣れた人を認識し記憶できるようになります。記憶することで知らない人を見分け、知らない人や見慣れない人が近づくと、怖がったり、恥ずかしがったり、泣いたり、安心できる親にしがみついたりする人見知りが始まります。また、人見知りをする赤ちゃんは好奇心が旺盛な傾向があります。知らない人に興味を持ち、近づきたいけれど怖いという葛藤から泣いてしまうことがあるからです。

 このように、人見知りは成長過程で、記憶する脳が育ってきた証拠で、身近な人との信頼関係が築けている証でもあります。

<1~2歳の発達状況や行動>

① 身近な人の行動をまねすることで生活に必要な行動を身につける

 1歳前後にはつかまり立ちや伝い歩きができ、歩き始めるようになります。この時期は運動機能の発達がめざましく、行動の範囲が広くなります。安心できる関係や環境を基盤に、身近な人や身の回りにあるものに対して自発的に働きかけていきます。

 なんでも自分でやりたいという自我が芽生え、身近な人の興味ある行動をまねし、物をつまむ、紙をめくる、なぐり書きする、物を転がす、スプーンを使う、コップを持つなど生きていくうえで必要な数多くの行動を身につけます。大人のすることをよく見ていて同じようにしたがり、一緒に洗濯物を畳むなどの手伝いや、積み木を車に見立てて遊ぶような見立て遊びが盛んになります。こうした行動をすることによって、子どもは自分にもできるという自信を持ち、自発性を高めていきます。

② 自分の思いを伝えるために、言葉や指さしや身ぶりなどで表す

 1歳前後で「マンマ(ご飯)」「ブーブ(車)」など意味のある単語を発するようになります。2歳前後になると「ワンワン イルヨ」など、2つの言葉をつなげた二語文を話すようになり、同時に自分の思いを伝えたいという欲求も高くなります。日常生活に必要な言葉もわかるようになり、自分のしたいこと、してほしいことを言葉や指さしなどで表そうとします。

 行動範囲が広がり、他の子どもとの関わりを少しずつ求めるようになります。自分が感じた喜びや感動を、自分に共感してくれる大人や友達に伝えようとしたり、一緒に体験したりしたいと望むようになります。

<2~3歳の発達状況や気になる行動>

① イヤイヤ期は自我や情緒が順調に育っている証拠

 2歳頃になると、知能が発達して自我が芽生え、大人の手を借りずに何でも自分で意 欲的にやろうとしますが、自分の思い通りにいかなかったり、受け入れられなかった り、自分でできなかったりして、欲求が妨げられることを経験します。

 この頃の子どもは、まだこのような状況にうまく対処できないので、何事にも「イ ヤ」と言ったり、時にはかんしゃくを起こしたり、反抗したりして自己主張します。これは、自我が順調に育っている証拠です。

また、わがままを言ったり、食べ物の好き嫌いをしたりして親を困らせることもありますが、それは情緒が複雑に発達してきたという証です。この時期は、何でも自分でやりたいと思う反面、親に見守っていてほしいという自立と甘えの間で揺れているので、子どもに振り回されていると捉えるのではなく、揺れる気持ちを受け止めて、根気強く見守りましょう。

 子どもが言葉をくり返したら、「そうなのね」と気持ちを受け止め、抱きしめたり、体に触れたりするのが効果的です。

② 両足でジャンプするなど運動機能が発達する

 2歳頃になると、しっかり歩けるようになり、歩行の機能が一段と進みます。走ることや、ちょっとした高さならまたぐこともできるようになるため、階段を昇るようにもなります。また、両足でジャンプするなど、基本的な運動機能も伸びてきます。

 体を思うように動かすことができるようになり、身体運動のコントロールもうまくなるので、リズミカルな運動や音楽に合わせて体を動かすことを好むようになります。活発に体を動かしたり、歩いたりすることが楽しい時期です。行動範囲はますます広がるので、散歩に行くときには、道路など危ないところでは手をつなぐようにしましょう。

<3~4歳の発達状況や気になる行動・言動>

① 友達との遊びの中で社会性を学び、成長しています

 3歳頃になると、基礎的な運動能力が育ち、話し言葉の基礎もでき、食事や排泄なども自分でできるようになってきます。自我がよりはっきりしてきて、1人の独立した存在として行動しようとします。そして、他の子どもとの触れ合いの中で、順番やルールなどを学び始めます。この時期は注意力や観察力がますます伸びるため、友達と一緒に、身のまわりの大人の行動や日常経験していることなどをまねて、ごっこ遊びをします。他の子どもたちと触れ合うことで「自分中心」から「友達」を意識し、仲良くすること、譲り合うことを学びます。また、けんかをしたりして、相手の気持ちを知ることは社会性の発達を促し、豊かな人間理解へとつながります。たくさんの子どもたちと遊べる機会をつくりましょう。

② 「なんで?」などの質問が多くなるのは、知識欲が強くなった証拠

 3歳頃になると、言葉はますます豊かになり、ものの名前やその機能などを理解しようとする知識欲が強くなります。そして、自分の行動や体験を通した現実的で具体的な範囲であれば、事前に結果を予測できるようになり、自分のしたいことにも意図と期待を持って行動できるようになります。さらに、簡単な話しの筋もわかるようになり、話しの先を予想したり、共感して考えたりできるようになります。

 この時期に「なんで?」「どうして?」という質問が多くなるのは、知識欲が旺盛な証拠です。知りたいことについて、わかるまで質問を繰り返します。果てしなく続く質問もありますが、大切なのはコミュニケーションです。質問されたときには手をとめて、丁寧に向き合い答えてあげるようにしましょう。子どもは、親が一緒に考えてくれたことに喜びを感じます。また、時には質問に答えるだけでなく、親から子供に「どうしてだと思う?」と質問をしてみましょう。

 子どもが自ら考え答えることは、自主性や想像力を養うきっかけになります。子どもが自分で考えた答えを言えたら正解でも不正解でも、褒めてあげましょう。「すごいね」と褒めることで子どもの自己肯定感を高めることができます。

<子どもの行動の変化は成長の証>

幼児期の行動の変化は成長の証です。子どもは一人ひとり個性を持っていて、成長には個人差があります。子どもは日々成長しています。年代別の発達状況はあくまでも目安にして、個性を尊重しながら、温かく子どもの成長を見守りましょう。



【参照】

「こんな時どうする?」の こども心理学(asmama.jp/mamasapo/pdf/KidsShinri.pdf#search='%E8%B5%A4%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93%E5%B9%BC%E5%85%90%E3%81%AE%E8%A1%8C%E5%8B%95')

伸芽’Sクラブ(https://www.shinga-s-club.jp/column//幼児の行動の変化で見られる発達状況の年代別/)



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